資源採掘による世界の問題事例

ビルマ(ミャンマー)モンユワ銅山開発事業
中国とカナダの鉱山 利権が絡むビルマの中央部のモンユワ銅山開発事業は、悪名高いレパダウン銅山もプロジェクト の一角を成しているとあって、住民は抗議活動を起こした。2012 年、警察は有毒性が高い爆発物の白 リン弾を非暴力でデモをしていた人たちに使用した。これは住民に対する拷問であり、国際法におい ては犯罪行為である。2014 年には警察の発砲で女性 1 人が死亡し、数人が負傷した。
始動当初からモンユワ事業は、強制立ち退きと環境汚染を前提に進められ、透明性も無視されてき た。何千もの住民が何の補償も代替住居も与えられずに家を追われた。1990 年代に投棄された鉱山か らの有害廃棄物は、いまだに十分に除去されておらず、住民は深刻な健康リスクにさらされている。 さらに数千人が家と生活を奪われる事態に直面しており、これも国際人権法違反である。

▽ビジネス優先?ビルマの銅山における企業の犯罪と人権侵害
OPEN FOR BUSINESS? CORPORATE CRIME AND ABUSES AT MYANMAR COPPER MINE
アムネスティ・インターナショナル 2015年2月発行 より
http://www.amnesty.or.jp/library/report/pdf/myanmar_20150703.pdf

パプア・ニューギニアの強制立ち退き
カナダの鉱山会社所有のポルゲラ金鉱山で、警察によって、事前通告もなく、住民との協議もされない強制立ち退きがされた。2009年には、警察による住居の焼き払いも行われた。代替住居も提供されないため、これは明らかな国際法違反である。
オク・テディ鉱山では、金や銅を抽出した残りカスである大量のテーリング(産業廃棄物)の海や川への投棄が問題になっている。

ペルーでの住民投票の結果無視
ペルーのリオ・ブランコ銅鉱山では、中国の鉱山会社が、住民投票で2度も否決されたにも関わらず、計画を進めたい大統領はこれを無視、地域住民と衝突が起き、死者と多くの逮捕者を出している。
生物多様性に富む地帯で生態系の破壊と農業用水の汚染の問題がある。

インド、ボーキサイト採掘の企業から資本を引き上げるノルウェー政府ファンド
インドのオリッサで、ボーキサイト採掘している企業から、ノルウェーの政府ファンドが投資を引き上げた。オリッサで行われている採掘とアルミの精錬工場拡充が、先住民族の経済的、物理的、文化的生存を脅かすと判断したからである。プロジェクト自体の地域に及ぼす影響のアセスメントが不適切なものであった。

ナイジェリアの環境破壊
ナイジャーデルタでの原油流出:
1976年から2001年の間に6800件以上(300万バレル)の原油が流出した。汚染された魚や飲料水による健康被害、漁業・農業の断念、汚染除去をせずに放置するなど大きな問題を引き起こした。

シエラレオネの紛争ダイヤモンド
1991年から2002年まで続いたシエラレオネの紛争では、違法に採掘されたダイヤモンドが、反政府側、政府側のさまざまな武装勢力の資金源になった。こういったダイヤモンドを血塗られたダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)と言う。紛争ダイヤモンドが市場に流通することを避けるために、キンバリー・プロセスというトレースシステムが出来上がった。この紛争ではダイヤモンドの他に、木材(マホガニーといった高級木材)も、武装勢力の資金源となった。


(アムネスティ・インターナショナル日本 2012.02)

 

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